山里のたより No.2
就労継続支援B型事業所「スマイルコーン」
スマイルコーンでは、お米の収穫を終え、夏の野菜の後片付けも済んで、お茶の生産も一段落。ちまたでは、秋のお祭りがたけなわです。
スマイルコーンでも、お祭り気分に浸れるよう、ハロウィンの小物作りに勤しんでいます。ハロウィンは、若い人の間で仮装集会やテーマパークの催し物として、近年、急速な盛り上がりを見せていますが、もとをたどれば、収穫を祝うお祭り。そこで、今秋も畑でとれた小さなカボチャに細工を施し、お化けの顔に仕立ててみました。お客様の間では、「なかなかの迫力で、完成度も高い」との評判です。
これも「女子力」が輝く、スマイルコーンならではの手仕事です。農作業だけでなく、こうした小物作りを通して、手指の細かい動きや達成感を得られる活動も大切にしています。
できあがった作品は、しばらく棚の上に飾られていましたので、メンバーからは「怖い」「にらまれてる」などの感想が聞こえてきました。どうやら、顔の表情のうちでも、三角形の目が、心に引っかかっているようです。「目は心の窓」、「目は口ほどにものを言い」と評されるように、顔の中でも特別な存在感を示しています。それだけに、丸い「蛇の目」ではなく、「狐目」に切り取ったメンバーの工夫が活きているようです。表現のみなもととなっている経験や思いがにじみ出ているのかも知れません。それにしても、この「目力」と「眼力」は相当なものです。
ところで、カボチャも、本来のオレンジ色をした「パンプキン」ではなく、スマイルコーンでは、「スクウォシュ」に分類される「スイートダンプリング」や「ペポ」などのミニカボチャを使っています。カボチャの表面の凹凸やまだら模様がかもす、混沌とした雰囲気を狙ってのことです。また、甘みの強い食べられるカボチャを使うことにもこだわっています。
こうしたポリシーは、スマイルコーンの母体ともいえる「川原田農園」の理念にも通底しています。原理原則に縛られることなく、新しいアイデアを積極的に導入する進取の気概を受け継ぎ、メンバーの意見を柔軟に採り入れ、大胆な表現を大事にするといったところが真骨頂です。「みんなちがって、みんないい。」という金子みすずさんの詩句にもあるように、スマイルコーンの指呼する「特性重視」の「まぜこぜ社会」には、カオスのエネルギーが充ち満ちています。「そんなエネルギーの発露が、祭りだ」と考えれば、小さなカボチャの作品にも一本筋が通っている、と独り合点している今日この頃です。